退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『人間狩り』(1962) / 日活サスペンス映画の隠れた秀作

Amazonプライム・ビデオで映画『人間狩り』(1962年、監督:松尾昭典)を鑑賞。時効が迫るなか犯人を追う刑事ドラマ。脚本は星川清司、主演は長門裕之。白黒映画。日活映画。

鬼刑事・小田切長門裕之)は、何度も表彰されている有能な刑事だが、強引な捜査や取調べにより署内の評判はすこぶる悪い。一方、私生活ではかつて検挙して死刑となった殺人犯の元情婦(渡辺美佐子)と恋人関係にあった。ある日、小田切は、長年追いかけている悪党・田口(小沢栄太郎)をぶち込めるネタをつかむ。小田切はそのネタの鍵となる房井(大坂志郎)という男を追うが、事件の時効成立が迫っていた……。


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人間狩りという扇情的なタイトルに惹かれて鑑賞するが、なんのことはない時効に追われる刑事ドラマ。タイトルから発想したのだろうか、冒頭の鏑木創による鬼気迫るOP楽曲に驚かされる。

長門裕之大坂志郎小沢栄太郎らの役者陣の演技に応えるかのような、松尾昭典監督の映画の文法をおさえた手堅い演出が冴えている。モノクロ映像も魅力的。

刑事の葛藤の通して社会や法の矛盾を描くプロットは陳腐だが、社会派ドラマの定番だろう。現在では凶悪犯の時効制度は廃止されたようだが、本作を見ると時効制度にも理があるのではないかと思える。

また当時の青砥、赤羽などの下町の映像は興味深く見ることができるのも美点。いまとなっては貴重な映像である。

日活サスペンス映画としては異色であるが、社会派人間ドラマの秀作としてオススメしたい。