退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024) / アメリカの内戦を舞台にしたスリラー映画

近くのシネコンで映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024年、監督:アレックス・ガーランド)を鑑賞。米国では今年3月に公開された映画だが、日本では大統領選挙を目前にして公開された。そのねらいに釣られたこともあり映画館に出かけた。

映画パンフレット シビルウォー アメリカ最後の日

大統領の無法行為に反発し、19の州が連邦政府から分離独立を表明し、内戦が勃発した近未来のアメリカ合衆国が舞台。テキサス・カリフォルニアが連合する「西部勢力(WF)」が、政府軍を撃退してワシントンD.C.に迫り、首都陥落が目前に迫っていた。そうしたなかジャーナリストたちは大統領に直接インタビューするため、ニューヨークを出発して、ワシントンD.Cに向かうが……。


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国家が分断されてすでに内戦が勃発した状態から映画が始まる。後に時間を戻して、分断の過程が描かれるかと思いきや、そういうわけでもない。政治的背景やイデオロギーのような小難しい要素は皆無。ひたすら無政府状態となった郊外を移動する過酷なロードムービーに仕上がってる。

申し訳程度の人間ドラマはあるものの、基本的にはアメリカ人同士の殺し合いが続くスリラー映画である。赤いサングラスのやばい男(ジェシー・プレモンス)が放つ「What kind of an American are you?」というセリフがキャッチーだ。


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ラストでホワイトハウスの突入する「西部勢力」の軍隊が、大統領を捕らえずに射殺するのもアメリカンだし、その突入部隊の兵士たちが大統領の遺体とともに記念写真を撮るのもアメリカンだと思ったものだ。

政治的なメッセージを期待すると拍子抜けするだろうが、スリルを味わいたい人は映画館で見てもいいだろう。雰囲気は出ている。