退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【読書感想】和田秀樹『さらば! 日大 ー私をクビにした日本最大の学校組織の闇ー』(ブックマン社、2024年)

タイトルに惹かれて読んでみた。

日本大学といえば、大学受験のとき何かヤバそうな大学だなと思った記憶がある。総合大学とは名ばかりで、学部単位でばらばらで互いに交流もないテキトーな寄り合い所帯という印象も嫌だった。

そのこと既に進学時に上京すること決めていた。「東京に行くのに日大とかふざけるな!」と両親に言われそう(言われたことはないけど)だったので、当然志望校から除外した。私にとっては、そんなイメージの大学である。

そうしたわけで私は日大OBではないし、家族にも関係者はいない。日大理工出身で準大手ゼネコンに務めていた親戚がいる程度である。まあ社会に出てからは優秀だなと思う人が日大出身だったことが何度かあり、私のなかで評価は上がっている。

さて本書に戻る。著者の和田さんが日大関係者だったのかと不思議に思いながら読み始めたが、日本大学の理事長となった林真理子さんから、常任理事にならないかと誘われて引き受けたとのこと。「タックル事件」「薬物事件」「裏金問題」などなど相次ぐ不祥事により、世間の評判が地に落ちた日大を改革するのは、さぞかしやりがいのある仕事だろうと思ったようだが、2年もしないうちに林理事長から「クビ」を言い渡されてしまう。

その常任理事就任から「クビ」になるまでの経緯を和田さんの視点から述べたのが本書である。まあはっきり言って「愚痴」を延々と聞かされているような本だが、日大の内部が透けて見えるところがあるのは興味深い。また和田さんの改革プランの一端がうかがえたのも面白い。

本来日大といえば、その伝統と陣容から日本を代表する私大のひとつであっても不思議ではない大学である。それにも関わらずブランドイメージがいつまでも低空飛行を続けいる理由が、本書からわかる気がする。

巻末に「日大事件簿」という資料がついていた。2010年代あたりから累々と不祥事を重ねていたことがわかる。さらに昭和まで遡れば、もっとすごいネタがありそうだ。それにしても、どうして運動部がこれほど幅を効かせているか部外者からは不思議なことである。