5日に投票が行われた米大統領選は、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を破り、4年ぶりにホワイトハウスに返り咲くことになった。
この結果自体は、アメリカ国民の選択なので何も言うことはないが、トランプ次期大統領が政権を執ったときに何が起こるについては無関心ではいられない。以下、3つほど気になることを挙げてみる。
第一は、トランプが公約していた関税引き上げである。とくに対中課税を一律60%に引き上がるとする通商政策は日本経済にも打撃になるだろう。いまだ中国に依存している日本企業は少なくない。中国の対米輸出が減少すれば、日本経済への影響も避けられない。これを引き金に日本が不況に見舞われるおそれがある。
第二は、ウクライナ戦争である。トランプは「ウクライナ戦争を終わらせる」と公言してきたが、どのように終わらせるつもりなのか。「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプは、ウクライナ支援を縮小、あるいは打ち切ることは十分に考えられる。そもそもウクライナ支援などアメリカの国益にまったく寄与していない。一部の軍需産業を潤しているだけだ。アメリカからの支援を失ったウクライナが、ロシアとどのように妥協するのか注目したい。
第三は、アメリカの移民政策である。トランプは民主党政権による不法移民政策を転換して、国境管理を厳重にすると公言している。アメリカは「移民の国」にはちがいないが、誰でも、いつでも勝手に国境を超えて入ってきてもいいわけではないだろう。これまでもトランプは、メキシコ国境に壁を築くなど強硬な態度をとっていたが、政権を執ったあとは、不法移民を摘発して大挙強制送還するなど、目に見える実績をつくるのだろうか。
それにしても、アメリカの大統領選を見ていると、直接政治リーダーを選ぶダイナミズムには惹かれるものがある。少し前に石破茂総理が誕生したが、その際の選出プロセスを見てると「これでいいのかな」とどうしても思ってしまう。この石破総理は、トランプ次期大統領に対抗できるのだろうか。まあ、トランプが大統領に就任するまで、石破さんが総理に座にいられるのか、という疑問もある。