退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

西村大臣、酒類提供について「金融機関から働きかけて」と発言(恐怖政治の萌芽)

西村康稔経済再生担当相は9日の閣議後記者会見で、酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、取引金融機関から順守を働き掛けてもらう方針を示した。この会見で「店舗の情報を関係省庁、金融機関とも共有し、金融機関からも応じてもらえるように働き掛けを行ってもらう」と説明した。


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これを見たときに耳を疑ったが、法的根拠もなく企業にとっては血液とも言える融資を制限するように圧力をかけることが許されるのだろうか。これではまったくの恐怖政治である。

本当に酒提供を止めることに正当性があるいうのなら、「要請」ではなく、国会で十分に議論したうえで法整備してからやってほしい。法的根拠もないのに、こんなデタラメをやられたら国民はたまったものではない。

また「金融機関から働きかけて」というのは論外であるが、酒類の卸業者に、酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、酒類を売るなと「要請」するのもおかしい。そもそもこんな「要請」が機能するはずがない。

まず飲食店は、いつもの流通経路で酒類が調達できなければ、他のルートを探すだろうし、場合によっては一般向けの酒屋から購入することもできる。

また卸業者にしても、政府のからの「要請」があったぐらいで、長年のつきあいのある取引さ先からの注文に応じないことはありえない。疲弊している飲食店にムチ打つような所業である。こんな目にあったら、飲食店は二度とその卸業者とは取引きしないだろうから、卸業者は取引先を失うことにある。コロナが終息したあともいったん失われた信頼は回復することはなく、商売を続けることはむずかしくなるだろう。

この程度のことは、少しでも自分で商売したり、民間企業で営業をかじったりした人ならすぐにわかりそうなものだが、そうした経験がまったくないのだろう。灘高校から東大法学部を経て、通産官僚になった“エリート”にはこうした常識が欠落しているにちがいない。

今回の発言は失言ではなく、パワポ資料を用意するなど入念な準備した末の発言であることにも注目したい。このように法的根拠もないのに業者に圧力をかけて自分の思い通りにしようとする考えが西村大臣には染み付いているようだ。

まあ官僚なら仕方ない面もあるが、政治家としては完全に失格。市井の人たちの気持ちがわからない人は政治の場から退いてほしい。少なくともコロナ対策を担う指導的立場にはふさわしくない。自ら辞任してほしい。

ジャコバン派の独裁 小説フランス革命14 (集英社文庫)