本書は、世界のエリートたちへのアンケートを通じて、日本が抱える問題点を明らかにしようとする試みである。
タイトルとはちがい、日本の短所だけでなく長所についても言及している。各章の冒頭にアンケート結果が羅列されているせいか、やや読みづらいなと感じた。構成については、もうひと工夫できるのではないか。
挙げられている短所のなかで印象に残ったのは以下の3つ。
- 政治家の質が悪い
- リーダーを育てるしくみがない
- 日本政府の負債が増加して大変なことになっている
このなかでとくに考えさせられたのは、総選挙前ということもあり、ひとつ目の政治家の問題である。これはとりも直さず、有権者である国民全体の問題でもある。国民の政治に対する意識の低さは由々しき問題だ。これは民主主義を自ら勝ち取った歴史を持たない日本の宿痾なのかもしれない。
二つ目のリーダーについては、国がリーダーを育成するという考えがもはや古いのかもしれないが、戦前にはたしかにそうしたしくみがあった。日本のリーダー論についてさまざまな議論があるだろうが、いまの「悪平等」がまかりとおる日本社会の雰囲気が大きく影響しているのかもしれない。
三番目の日本の負債については、「国民一人当たりの借金が……」というのはナンセンスだとしても、今後衰退して返済する見込みがないことが明らかな日本において、負債が年々膨らんでいくのは尋常なことではない。まあ潤沢な資産もあり直ちに破綻することはないにしろ、将来に不安が残る。いずれ大増税になるなることはまちがいない。いまの小学生あたりが働き盛りになることは地獄かもしれない。
本書は筆者のユニークな経歴と人脈により、類書に見られない日本の現状分析になっている。とくに日本批判は聞くべき価値がある。「じゃあどうすれがいいの?」と思わないわけではないが、それは日本人全体で考えるべきことだろう。私は逃げ切ることしか考えてないが、将来世代にはがんばってほしい(爆)。