退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

テレビ時代劇「家光謀殺」(1995年)

東映時代劇YouTube」チャンネルでテレビ時代劇「家光謀殺」が配信されていたので鑑賞する。1995年にテレビ朝日系列で新春大型3時間時代劇スペシャルとして放送された時代劇ドラマ。主演は村上弘明

笹沢左保の小説「家光謀殺―東海道の攻防十五日」が原作。超能力者が登場するなどファンタジーである。先日見た「戦国最後の勝利者徳川家康」から3年後の新春時代劇であるが、放送枠は5時間から3時間に縮小され、もはや合戦を撮るほどの予算もなかったのだろう。お手軽なチャンバラドラマになっている。

徳川家光円谷浩)は心ならずも弟・忠長に追い込むなど武断政治を進めており、忠長の遺臣をはじめ恨みを持つは多い。そうしたなか家光は大軍を率いて上洛することになる。その道中で家光を襲う計画があることを察知した松平伊豆守(寺尾聰)は、大久保彦左衛門(金田龍之介)に迎撃を命じ、彦左衛門は芥川七郎兵衛(村上弘明)に「怪人」を集めてその任にあたらせる。宮本武蔵北大路欣也)、由比正雪渡部篤郎)ら7人の怪人たちが、家光への復讐を謀る刺客たちに挑むが……。

エンドクレジットでは北大路欣也がトップに表記されているが、このドラマは村上弘明主演と言ってよいだろう。北大路欣也村上弘明も殺陣には定評があり、チャンバラとしては十分楽しめる。とくに北大路の二刀流は圧巻。

敵方は「十二の月」という刺客集団だが、いちいち「睦月」「如月」など、月の名前を彫った腕の入れ墨をさらして破れているのはちょっと滑稽。

滑稽と言えば、家光側の7人の怪人のなかに予知能力をもつ超能力者・綾糸(南野陽子)が加わっているのがユニーク。そして敵方には同じように女の超能力者・弥生(沖直美)いて、夢のなかで対決するとうファンタジー全開の展開は苦笑を誘う。

南野陽子と言えば、村上弘明に「抱いて♡」とせがむ場面もあり、新年から色気シーンかと期待するか、すぐにCM(YouTubeにはCMはないが)で場面が切り替わってしまい落胆する。肩ぐらいみせてよ。

出演者のなかでは、出番が少ないものの金田龍之介の演技が光る。さすがベテラン俳優はちがうなと思ったものだ。本作は晩年に近い作品かと思い調べていたが、そういうわけでもない。その後もスーパー歌舞伎に出演するなど活躍している。

いまから振り返ると、この時期が地上波でまともな時代劇ドラマを制作できた最後の時期だったのかもしれない。