退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

テレビ時代劇「戦国最後の勝利者!徳川家康」(1992年)

東映時代劇YouTube」チャンネルでテレビ時代劇「戦国最後の勝利者徳川家康」が配信されていたので鑑賞する。1992年にテレビ朝日系列で新春大型5時間時代劇スペシャルとして放送された時代劇ドラマ。主演は北大路欣也

昔は毎年のように年末年始に大型時代劇が作られたものだが、いまではすっかり廃れてしまい、お手軽なバラエティ番組ばかりになってしまった。やれやれ。

このドラマが放送された1992年はすでに時代劇は斜陽期と言ってよいが、それでも今では考えらないほどの予算がついていだのだろう、合戦のエキストラの数からして豪華であり新年の気分を盛り上げてくれる。

出演者では主役・家康を演じる北大路欣也と、信長役の高橋英樹の絡みは見ごたえがあった。今川義元役が名和宏なのは東映らしいて微笑ましい。またアイドル枠で南野陽子河合奈保子が出演しているのも懐かしい。

物語は家康が武田信玄・勝頼との合戦で惨敗する場面から始まり、その後過去に戻るという筋立てである。最初に迫力満点のシーンでツカミはOKという演出になっている。

物語のクライマックスはやはり築山殿事件だろう。このドラマの落ち度ではないが、この事件は人物関係が複雑でわかりにくい。まあ有名な史実なのでくどくどと説明する必要はないのだろうが、大衆向けのテレビではそうもいかないのがツラいところ。築山御前(真野響子)や松平信康が死に追いやられる流れはややわかりにくい。今年の大河ドラマ「どうする家康」では、どのような演出になるのだろうか。

このドラマは大型5時間時代劇スペシャルとは銘打たれているが、実質4時間余の尺である。最初長いと思っていたが、終盤では関ヶ原の戦い大阪城攻略は端折られていて、あっという間に終わってしまう。昔のように12時間ほどの枠があれば、豊臣秀吉の死後もきちんと描かれていたのだろう。

本作はやや物足りないとはいえ、いまではこうした豪華な時代劇を望むべくもない。昔の作品を掘り起こしてちびちびと楽しむのがせいぜいである。時代劇ファンには世知辛い時代になった。