退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『女帝 春日局』(1990) / 東映のお家芸「トンデモ時代劇」だが、鳥越マリは美しい

東映時代劇YouTube」チャンネルで配信されていた、映画『女帝 春日局』(監督:中島貞夫)を見る。脚本は高田宏治、撮影は木村大作という豪華な布陣。主役は十朱幸代。

この映画は春日局が家光の乳母となり、大奥で「女帝」として権力を把握するまでの半生を描く。チャンバラのない時代劇を東映がよく撮るなあと思ったが、実は「大奥もの」は東映の十八番で、何度も映画やテレビドラマを製作している。

しかし本作は通説とは異なり、家康(若山富三郎)とふく(十朱幸代)との間にできた子どもが家光という設定。秀忠(金田賢一)の正室お江与吉川十和子)が懐妊するが、のちに死産となる。大姥の局(草笛光子)の画策により、ふくの子は替え玉として秀忠の子どもとなり、ふくがその乳母になる……。東映が得意する「トンデモ時代劇」である。

この奇想天外な設定は娯楽映画としては面白いが、正統派「大奥もの」とは趣が異なる。やはり、NHK大河ドラマ春日局』やテレビドラマ『大奥』(1983年版)のように小さなエピソードを積み重ねて人生の機微を描いていくのが正道だろう。

この映画は正直あまりピンと来なかったが見どころはある。

ひとつは家康役の若山富三郎。夫・稲葉正成の仕官を頼みにきたふくを無理やり抱いてしまうばかりか、終盤では鳥越マリにも同じことをしている。鳥越が演じた「つめ」が家康最後の側室となる。好色な家康を演じた若山富三郎が絶品。

もうひとつは鳥越マリの脱ぎっぷり。鳥越と言えば、フジテレビの深夜番組「オールナイトフジ」の司会として注目を集めたことで知られる。「土曜の夜はオールナイトフジ!」という掛け声で始まった、当時の女子大生ブームの火付け役となった番組だった。思い出補正もあるが、この映画の最大の見どころは鳥越マリである。異論は認めない。

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