退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『最後の特攻隊』(1970) / 東映やくざ映画オールスターによる戦争巨編

DVDで映画『最後の特攻隊』(1970年、監督:佐藤純彌)を鑑賞。東映オールスターによる戦争巨編。脚本は直掩隊隊員であった直居欽哉。白黒映画。

大戦末期、特攻作戦で生き残った宗像大尉(鶴田浩二)は、後に不本意ながら特攻機を護衛する直掩隊の指揮を執ることになる。多くの戦友が特攻で散っていくなか、自らは死ぬことは許されず、ひたすら「見送る任務」に徹する。やがて特攻隊隊長として矢代中尉(高倉健)が特攻基地に着任する。ふたりは対立しながらも友情を深めるが、やがて矢代は出撃して散華する。そして帰投した宗像大尉を待っていたのは終戦の報だった。その翌日、宗像は単機で出撃するのだった……。


最後の特攻隊(予告編)

東映やくざ映画のオールスターで戦争映画が成立するのかと思ったが、意外にまともな映画だった。鶴田と高倉の両スターが絡んだ芝居は見応えがあるし、隊員たちやその家族の心情がよく描けていて最後まで緩まずに見ることができる。若山富三郎が演じる整備兵がいい味を出している。

空戦などの戦闘シーンの特撮がしょぼいのは惜しいが、予算的に仕方ないのだろう。本作が白黒映画なのは、演出なのか予算的な制約だったのかわからないが、映像的には成功している。カラーでは出ないだろう味わいがある映像に仕上がっている。

それにしても護衛任務から帰投した後、玉音放送を聞くこともなく日本が無条件降伏していたことを知らされる絶望感はいかばかりだったろうか。しかも上層部は敗戦が決まったことを知りながら、特攻隊の出撃を命じていたのだから救いようがない。これが軍隊組織というものだろうがやりきれない。