退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』(1972) / 若山富三郎版「子連れ狼」シリーズ第1作

少し前になるが新文芸坐の《若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映》という企画で、映画『子を貸し腕貸しつかまつる』(1972年、監督:三隅研次)を鑑賞。原作は小池一夫原作・小島剛夕画の時代劇劇画。全6作つくられた若山富三郎主演、「子連れ狼」シリーズ第1作。

公儀介錯人の要職を奪わんとする裏柳生一門の長・柳生烈堂(伊藤雄之助)の陰謀により、妻と一党を惨殺され、さらには公儀反逆の汚名を着せられた拝一刀(若山富三郎)は、柳生一族への復讐を誓う。一刀は、一子・大五郎(富川昌宏)とともに、一殺・金五百両の雇われ刺客となり冥府魔道に踏み込んでいく。


子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる (1972) - 予告編

第1作なので、まず主人公・拝一刀が公儀介錯人の地位を追われ刺客道に入っていく経緯、そして柳生一門との確執が描かれる。後半の湯治場のエピソードは実写化するとバカバカしく、連想ゲームのくだりは場内に笑いが漏れた。「漫画かよ!」とツッコみたくなるが、原作が劇画なのでこれは仕方ない。

若山富三郎の殺陣のキレが素晴らしい。一刀が白装束で公儀の使者を迎え、上意を伝える書状を刀でピュピュと切り裂くシーンは最高にかっこいい。

ヌードとスプラッタの連続でともすればB級おバカムービーになりそうな作品だが、巨匠・三隅研次のセンスの良さにより良質の娯楽映画として成立している。

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