池袋の名画座・新文芸坐にでかけた。コロナ禍で映画館に行くのを控えていたが、どうしても《若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映》という企画を観たかったからだ。ひさしぶりである。
開演より少し前に到着すると、なんと観客がビルの外まで並んでいて驚いた。映画館はビルの3階にある。不要不急の外出を控えろというお上の要請など知ったことかいうことか。
列に並んで階段をゆっくり登ってようやく券売機まで辿り着いた。券売機は従来どおり現金しか受け付けないポンコツのまま。スタッフが客から現金を受け取って、それを券売機に投入していた。アナクロすぎる。
私はいまでは極力キャッシュレス決済を心がけているが、やはり名画座は時代の流れから取り残されているようだ。あのサイゼリヤですら、最近はSuicaで支払えるようになったのに……。いまなお現金のみなのは、私の周りでは名画座と理容店ぐらいだ。
館内を眺めてみた。感染防止対策のため観客の動線を考慮してのことだろうか、ロビー内の什器の配置が変わっていた。場内は食事は禁止だったが、ドリンクを飲むことはOKだった。場内での軽食はちょっとした楽しみであるが、いまは仕方ない。
座席はすべて開放していて、座席ひとつおきに座るということはなかった。まあ全員がスクリーンに向かって座り、マスク着用していてばそれほどリスクはないのかもしれない。
ちょっとさびしかったのは、1階のポスターがすべてなくなってデジタルサイネージのモニタがぽつんと設置されているだけだったこと。コストダウンのためなのかとても寂れた感じがした。また以前は豪華なチラシをつくっていたが、それもなくなっていた。
ひさしぶりに大スクリーンを堪能したが、名画座がこのまま存続できるのか心配になった。