Apple Music Classicalはクラシック音楽の配信に特化したサービスである。米国など海外では、昨年の3月にサービスが開始されていたが、日本では今年1月から配信が開始された。なぜ日本(と一部の国)だけ遅れたのか不満だったが日本でもようやく公開された。数か月ほどApple Music Classical利用してみたので感想を述べてみたい。
このサービスを利用するためには、Apple Musicの契約が必要だが、Apple Music Classicalでさらに課金されることはない。既存の「ミュージック」アプリとは別に、検索や再生に使う専用の「クラシック」アプリが提供されているが、おそらく音楽ライブラリは共有しているのだろう。
要はApple Music Classicalはクラシック音楽に特化しており、Appleがクラシック曲とみなした楽曲しかユーザーからは見えないようになっているが、その代わりにクラシック曲に適した検索機能を有しているのが特徴である。やや抽象的な言い方になるが、「クラシックの楽曲のデータ構造を十分に理解しているサービス」ということだろうか。Appleがクラシック音楽にこれほど注力しているのは意外に思ったものだ。
データ構造については詳しくは述べないが、交響曲はだいたい4つの楽章から構成されるし、同じ楽曲はいろいろな演奏家が演奏するし、同じ演奏家も別の時期に同じ楽曲を何度も演奏したりなどなど、クラシック音楽特有の事情いろいろあるわけだ。CD単位で配信されている既存の音楽配信サービスに不満だったクラシック音楽ファンは多かったと思うが、このApple Music Classicalはこうした不満を解消してくれるサービスである。とくに検索機能は本当にすばらしい。もちろんBWV番号やケッヘル番号で楽曲を検索することもできる。
また音質も申し分ない。私はSpotifyも利用しているが、Apple Music Classicalはロスレスで配信されている音源も多数あり、Spotifyと比べて段違いの高音質である。クラシック曲では、その違いが一層明確になるように思える。
一方、このサービスに対する最大の不満は「Mac版のアプリがない」ことである。Android版ですらあるというのに……。やはり帰宅してからはMacに接続したオーディオ環境でゆったり聞きたいなと思ってしまう。
あとはApple MusicとSpotifyの音楽配信サービスを2つもサブスクしているのは、ややぜいたくじゃないかという後ろめたさもある。まあSpotifyにはSpotifyならではよさがあるので継続してるわけだが……。固定費削減となると真っ先に目が付けられそうではある。