退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『子連れ狼 地獄へ行くぞ! 大五郎』(1974) / 若山富三郎版「子連れ狼」シリーズ最終作

先月、新文芸坐の《若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映》という企画で、映画『地獄へ行くぞ! 大五郎』(1974年、監督:黒田義之)を鑑賞。原作は小池一夫原作・小島剛夕画の時代劇劇画。全6作つくられた若山富三郎主演、「子連れ狼」シリーズ最終作。

拝一刀(若山富三郎)に3人の息子を討ち取られた柳生烈堂(大木実)は、一人娘・香織(瞳順子)に「お手玉の剣」で一刀の命を狙わせるが、あえなく香織は敗北する。香織の死を知った烈堂は、自らの妾腹の子・土蜘蛛兵衛(木村功)を頼る。土蜘蛛族は「うぬら父子の行く所、関わりのない者が死ぬ」と一刀に警告を発し、一刀親子が関わった人たちをことどく殺害していく。窮地に陥った一刀だったが、結局一対一の戦いに持ち込み兵衛を討ち取る。いよいよ追い込まれた烈堂は、残党を糾合して大雪原で一刀を迎え撃つが……。


子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎 (1974) - 予告編

ついに最終作でネタ切れ。刺客依頼すらなくアクション主体の映画となっている。これまでも荒唐無稽だったがかろうじて時代劇の体をなしていたのだが、今回はその枠を大きく超えている。とくに蔵王のスキー場でロケしたクライマックの大立ち回りはすごいが時代劇とは言えない。それでも乳母車を「そり」に仕立てて雪山を滑り下りるシーンは圧巻で見応えがある。こうした映像は今後も撮られることはないだろう。唯一無二の映画と言える。

監督はアクション映画を得手とした黒田義之が務めている。当初、本シリーズで何度もメガホンを取った三隅研次にオファーしたというが「こんなんようやらん」と難色を示したとか……。「わかる〜」と唸ってしまう。その分、若山は自由に演じられたのではないか。

一刀と烈堂との決着がつかずにシリーズが終わってしまったのは残念。本作の撮影の時点で原作が未完だったので仕方ないし、ネタ切れ状態では続編がつくられなかったもやむなし。それにしても若山富三郎の拝一刀で柳生との決着を見たかった。

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