新文芸坐で《若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映》という企画で、映画シリーズ全6作を観てきた。『子連れ狼』は、小池一夫原作・小島剛夕画の日本の時代劇劇画で、『漫画アクション』(双葉社)に連載された。
- 子を貸し腕貸しつかまつる(1972年、監督:三隅研次)
- 三途の川の乳母車(1972年、監督:三隅研次)
- 死に風に向う乳母車(1972年、監督:三隅研次)
- 親の心子の心(1972年、監督:斎藤武市)
- 冥府魔道(1973年、監督:三隅研次)
- 地獄へ行くぞ! 大五郎(1974年、監督:黒田義之)
拝一刀と言えば、私のなかでは萬屋錦之介でもなく北大路欣也でもなく、やはり若山富三郎である。身体能力の高さを活かした殺陣の名手。若山なければ、劇画の世界観をそのまま実写化できなかったであろう。
Lone Wolf and Cub 1 Sword of Vengeance 1972 Trailer
全編とおして女性ヌードとスプラッタの連続で、いまの基準ではとうてい一般映画としては成立しないだろうが、当時の劇画文化の雰囲気をよく伝えている。
最終作になった第6作『地獄へ行くぞ! 大五郎』ではネタ切れになったのか、刺客依頼もなくひたすらアクションに徹しており、拝一刀と柳生烈堂の決着はつかずにシリーズは終了している。原作の連載が終了するのは1976年だったので、原作のストックが切れたのだろ。なお原作ではふたりの決着がついて、堂々完結しているので、気になる人は原作コミックをチェックするとよい。
ひさしぶりに新文芸坐で映画を見たが、こうしたアクション映画は大スクリーンで見るに限る。ひさしぶりの『子連れ狼』を堪能した。上映後、ロビーに「映画は映画館で観るもの」というコラムが掲示されていたのを見つけた。「ごもっとも」と言いたくなるが、なかなかそうも言ってられないご時世である。