退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972) / 若山富三郎版「子連れ狼」シリーズ第2作

少し前になるが新文芸坐の《若山富三郎主演 「子連れ狼」 壮絶!一挙上映》という企画で、映画『三途の川の乳母車』(1972年、監督:三隅研次)を鑑賞。原作は小池一夫原作・小島剛夕画の時代劇劇画。全6作つくられた若山富三郎主演、「子連れ狼」シリーズ第2作。

柳生との確執の末、刺客道を歩む拝一刀(若山富三郎)とその子・大五郎(富川晶宏)は旅を続ける。そこに明石柳生の女当主・鞘香(松尾嘉代)は、女武芸者である別式女たちを送り込り、一刀親子の命を狙う。辛くも別式女たちを全滅させた一刀は、阿波藩より刺客依頼を受ける。阿波藩名産の藍の製法を秘密を守るため、江戸の護送される男を斬ってもらいたいという。しかし、その護送には「弁天来」と呼ばれ怖れられる公儀護送人(大木実、新田昌玄、岸田森)の三兄弟がついていた……。


「子連れ狼 三途の川の乳母車」(公開年月日 1972年04月22日) 予告篇

今回シリーズ全6作を見ることができたが、本作が最高傑作だと思う。以前記事を書いているので参照してほしい。

とくにすごいのは、砂丘での拝一刀と弁天来との対決シーン。この映画のクライマック。阿波から江戸に護送するのになぜか舞台は砂丘。「どこの日本ですか?」と言いたくなるほど無国籍で異国かと思える舞台設定である。それなのに登場人物の扮装は時代劇のままであり、そのギャップがおかしい。砂丘を舞台にした一大アクションは見応えがあり、いままでに見たことのない時代劇映画で圧倒される。

ほかには松尾嘉代の全身ストッキングのスケスケルックが不思議な印象を残す。場内に失笑が漏れていたが、原作劇画を実写化するとこうなるのかと唖然となる。まあ松尾さんが美しいので妙に納得してしまうのだが。

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