退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『シルクハットの大親分』(1970) / 若山富三郎主演による緋牡丹シリーズのスピンオフ企画 

YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていた、映画『シルクハットの大親分』(1970年、監督:鈴木則文)を鑑賞。藤純子の緋牡丹シリーズでお馴染みの人気者・熊虎親分を主人公とするスピンオフ作品。主演は若山富三郎

日露戦争で大陸に渡った熊虎親分(若山富三郎)率いる四国熊虎一家が、日本の勝利に貢献して本土に凱旋する。殉職者たちの遺族を探すため大阪へとやって来た熊虎は、ふとしたきっかけで軍の仕事を引き受けることとなる。これまで独占的に仕事を請け負い暴利を貪っていた熊本の鎮台一家(親分:遠藤辰雄)は、執拗に熊虎一家を妨害してくる。熊虎一家は旅先から駆けつけた緋牡丹お竜(藤純子)の応援を受けて立ち向かうが……。


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藤純子の緋牡丹シリーズがシリアスな任侠映画であるのに対し、本作は冒頭から下ネタ全開のコメディタッチに仕上がっていて、その落差に驚かされる。それでも立ち回りは、「子連れ狼」シリーズで拝一刀を演じた若山富三郎の殺陣が冴えていて見ごたえがある。

ラストは任侠映画のお約束どおり、若山が敵役の遠藤辰雄や天津敏ら相手にカチコミをかける。そこに藤純子も参戦して復讐を遂げる。しかしヤクザの親分の遠藤はともなく、帝国軍人の天津までぶち殺していいのかね。その顛末は不明のまま終劇。

また藤純子がいつ出るのかと思って見ているとじらされるが、ちょうどいいタイミングでお竜さんが登場して拍手喝采。ラストで藤純子が素で苦笑いしているような仕草さも見逃せない。

娯楽映画として面白いしエキストリームでもあり、このチャンネルにぴったりの一作。続編『シルクハットの大親分 ちょび髭の熊』もぜひ配信してほしい。