昨年末、新文芸坐で大映版『忠臣蔵』(1958年)が上映されたとき、筆者の春日氏のトークショーがあった。そこで宣伝されていたので今回手に取ってみた。
映像作品としての「忠臣蔵」の歴史を読み解いていく。ライトな時代劇ファンとしては読んでおきたいと思っていた本だ。「忠臣蔵」とは何かというところから始まり、登場人物の紹介、作品紹介などをわかりやすく解説している。
「忠臣蔵」の物語は、日本人なら誰でも知っていると思っていたが、最近はそうでもないことに驚いた。かつては年末になると手を変え品を変え「忠臣蔵」が放送されていたものだが、そういえば最近はぱったりと見なくなった。みんなが知らないのも無理はない。この本には、なぜ「忠臣蔵」が製作されなくなったかという理由も考察していて、なるほどと思った。
後半の作品紹介も参考になったが、どうせなら資料として見やすいようにまとめてほしかった。作品一覧や主要登場人物の俳優名などはリストにしてほしかった。それでも新書なのに巻末に索引が付いているのは評価できる。
あと「忠臣蔵」はあまりにも作品数が多くてどれから見ればいいのかわからない。そんな読者が多いのではないか。初心者がまず見るべき作品をいくつか提示してくれると読者にとって親切だろう。