退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻』(1959) / 東映時代劇の黄金期の忠臣蔵

四十七士討ち入りの日にちなんでなのか「東映時代劇YouTube」チャンネルで配信されていた、映画『忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻』(1959年、監督:松田定次)を鑑賞。「櫻花の巻」で赤穂城明け渡しまでを、「菊花の巻」で吉良邸討ち入りまでを描く二部構成で上映時間3時間を超える大作。東映スコープもシネスコ

東映時代劇の絶頂期に作らえたとても豪華な忠臣蔵。出演者は片岡千恵蔵市川右太衛門の両御大を始め、美空ひばり中村錦之助東千代之介、大友柳太朗、大川橋蔵東映スターが総出演したオールスターキャストとなっている。吉良邸や江戸城赤穂城の広間などのセットが巨大なのことからも予算が潤沢だったことがうかがえ、当時の東映の力の入れようがわかる。


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何度かに分けて最後まで見たが、やはり大石内蔵助を演じた片岡千恵蔵がいちばん目立つようにつくられている。もちろん主役なのだから当然であるが、役者の間の歴然としたヒエラルキーのようなものが感じられる。結局は千恵蔵の映画なのである。

そうは言っても、オールスターキャストだから他の出演者もスターである。そのため、それぞれのスターの見せ場をつくることに汲々としており、映画全体のバランスがどうもよろしくない。今見るとそんな印象を受ける。

この映画は、前年に公開された大映による『忠臣蔵』(1958年、監督:渡辺邦男)のヒットを受けてつくられたというが、大映版のほうが映画としては出来がよく私の好みである。

まあ、このような大作を惜しげもなくYouTubeで無料公開する東映の太っ腹には感謝したい。Macの画面でなく映画館の大きなスクリーン見たいと思わせる豪華な映画だった。