退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『わんわん忠臣蔵』(1963) / 主題歌「わんわんマーチ」がなつかしい

新文芸坐の《12月!おのおの方、討ち入りでござる! 大忠臣蔵映画祭》という「忠臣蔵特集」で、東映動画の長編アニメーション映画『わんわん忠臣蔵』(1963年、監督:白川大作)を鑑賞。『サラリーマン忠臣蔵』(1960年)との二本立て。『サラリーマン忠臣蔵』の続編ではなくアニメが併映作かよと思いながら見始める。

森の動物たちを餌食にしていた虎のキラー(声:西村晃)に母犬シロを殺されたロックが、同志の犬たちと力を合わせて仇討ちに挑む。ロックの成長と活躍を描く。母親の仇討ちなので厳密には「忠臣蔵」ではないのだが細かいことはいいだろう。

終盤、舞台を森から動物園に移しての"討ち入り"のシーンが圧巻。仇敵キラーを守る南国生まれの猛獣たちが雪に弱いだろうと、雪の日に決起する。雪が降りしきるなかの猛獣たちとの戦い、そしてジェットコースターでのキラーとの最後の対決は東映動画のレベルの高さを実感できる。

作風は現代のアニメとは違い時代を感じさせるが、「安寿と厨子王丸」「わんぱく王子の大蛇退治」「太陽の王子 ホルスの大冒険」などとともに、古典として一度は見ておくべき作品であろう。

忠臣蔵と謳っているが、街の看板などの美術はアルファベットで統一されていて日本らしさがなく無国籍な雰囲気に仕上がっている。海外市場へのセールスを意識したものであろうが、果たして売れたのだろうか。