【映画感想】『修羅』(1971) / 松本俊夫監督が描いた裏・忠臣蔵。大傑作
早稲田松竹の《早稲田松竹クラシックスvol.159 寺山修司×松本俊夫》で映画『修羅』(1971年、脚本・監督:松本俊夫)を鑑賞。鶴屋南北の歌舞伎狂言「盟三五大切(かみかけて さんご たいせつ)」を原作にして、忠臣蔵の裏を描く。白黒映画。
塩治浪士の源五兵衛(中村嘉葎雄)は、主君の仇討ちを心に誓っていたが、芸者・小万(三条泰子)に入れあげてしまう。源五兵衛の下人(今福正雄)は主人の仇討ちのために百両を工面して差し出すが、その金を小万の身請けに使ってしまう。しかし、それは小万と三五郎(唐十郎)ら一味が仕組んだ集団詐欺だった。それを知った源五兵衛は殺人鬼と化すが……。
Clip of SHURA (Pandemonium) - Toshio Matsumoto
原作が歌舞伎狂言ということもあるのだろう、舞台芸術かと思えるキレのある映像に圧倒される。照明や撮影を凝っていて当時の技術でここまで魅せる映像が撮れたのかと感心する。ダークサイドに堕ちた主人公が振るう刃で血みどろの地獄絵が鮮烈な印象を遺す。白黒映画でよかった。
中村嘉葎雄、唐十郎たち出演者たちの強烈な存在感がいかんなく発揮されている。とくに小万役の三条泰子が乗り込んできた源五兵衛の前で三味線を弾きながら歌うシーンがいい。
結局、騙し取られた百両は巡り巡って源五兵衛に戻ってくるが、源五兵衛は義士の列に加わることなく映画は終わる。一方、原作では晴れて義士の列に加わるというラストらしい。さすがに「おい、ちょっと待て」と言いたくなる。

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