退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

テレビ時代劇『十三人の刺客』を見た(仲代達矢 vs 夏八木勲)

GW中、tvkで放送されたテレビ時代劇「十三人の刺客」を見た。1990年にフジテレビで「時代劇スペシャル」として放送された作品。「十三人の刺客」がテレビ時代劇でリメイクされたのは知っていたが、実際に見たのは初めてだった。

オリジナルはもちろん工藤栄一監督、片岡千恵蔵主演により、1963年に公開された同名の東映映画。時代劇の名作として知られていて、本作では東映が企画協力としてクレジットされている。

テレビドラマの配役は、幕府の密命を受けて明石藩主の松平斉韶を討つべく刺客を率いる島田新左衛門を仲代達矢が、そして主君を守る鬼頭半兵衛を夏八木勲がそれぞれ演じている。この二人を軸にオリジナル映画を忠実になぞった演出は無難だが面白みに欠ける。

とくにダメなのは松平斉韶の残虐さが十分に描かれていないこと。オリジナルでは菅貫太郎が見事に酷薄なバカ殿を演じていて映画の肝になっている。ちなみに2010年に三池崇史監督によるリメイク映画では、松平斉韶を元SMAP稲垣吾郎が演じていて高い評価を受けている。重要な役なのに本作ではおざなりにされている。

オリジナルが白黒映画だったので、本作がカラーなのはひとつ救いではあるが、あらゆる点でオリジナルに遠く及ばない。どうせテレビドラマでリメイクするなら思い切った演出・潤色がほしかった。

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