退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022) / 安彦良和による最後のガンダム映像

Amazonプライム・ビデオでアニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022年、監督:安彦良和)を鑑賞。今年6月に劇場公開されたアニメがもうAmazonプライム・ビデオを見れるのかと驚いた。

冒頭、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』第15話「ククルス・ドアンの島」の翻案であることがテロップで示される。テレビ版の「ククルス・ドアンの島」の作画崩壊はつとに知れれているが、さすがに本作はまともに作画されている。

本作は「THE ORIGIN」という名称は入っていないが、「THE ORIGIN」の世界観でアニメ化されている。「THE ORIGIN」の第1作と見較べるとCGアニメの技術の進歩が素人目にもはっきりわかる。


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このアニメの肝は、島の子どもたちとアムロの交流にあるが、本作では子どもの数が多すぎて誰が誰だかわかりにくいのは難点。その代わりというか、ガンオタ待望のモビルスーツ戦に尺を割いてアニメーション映画らしい迫力のある戦闘シーンがたっぷり用意されているのいい。人間ドラマと戦闘シーンのバランスをとったということだろうか。

細かいことを言えば、脱走兵として隠れていなければならないドアンが、こわれた灯台に明かりを灯すことを許したり謎な行動が多いのは気になった。灯火管制してもいいくらいなのに……。

いずれにせよ安彦良和が「THE ORIGIN」から手掛けたガンダム作品は本作が最後だということをに意味が大きい。作中でアムロの回想を借りて、ファーストガンダムの名シーンが再現されている。これを見てやっぱり最後なのだなと思った。本音を言えば、安彦には「THE ORIGIN」を原作どおりにアニメ化してほしかったが、もはやその願いは叶わないことが、このアニメを見てはっきりした。

最後のガンダムということなら劇場で見たかったが、シネコンの割引がきかない謎の興行システムだったので躊躇してしまった。これも「めぐりあい」だろう。