退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』(1981) / 千葉真一と真田広之の師弟コンビによる東映活劇

DVDで映画『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』(1981年、監督:鷹森立一)を鑑賞。ロベール・アンリコ監督の映画『冒険者たち』にインスパイアされた東映映画。主演は千葉真一

元オリンピック選手の大学職員・神風大介(千葉真一)は、無類の飛行機好き。ある日、複葉機の操縦中に墜落してしまう。そのとき乗馬をしていたジョッキー志願の娘・金城ケイ(秋吉久美子)を驚かせて、落馬させ、そのうえ馬をケガさせてケイはクビになる。一方、大学では不正入試事件が明るみになり、医学生・星野明(真田広之)は退学になり、大介も不正入学者だったことから職員を解雇される。この3人は大学に不正に蓄財された大金を強奪するが、大介の愛人(あべ静江)の不用意な行動から、ヤクザのボス(岡田英次)に狙われるはめに……。


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脚本は錚々たる顔ぶれで期待するが、なんとも変な話で締まらない。フランス映画の焼き直しだが、千葉真一真田広之の筋肉師弟コンビが濃すぎて、3人目の秋吉久美子が演じるヒロインがかすんでしまっているのは難点。

総じて見どころに乏しい映画だが、ラストの軍艦島のロケシーンは一見の価値あり。いまや世界遺産となった軍艦島で大量の火薬を炸裂させたアクションはもう撮れない貴重な映像である。

千葉真一といえば格闘シーンを期待するが、この映画ではあえてそれを避けて、冴えない一市民を演じている。それにかかわらず乗馬や水上スキー、グライダーなどで迫力のあるアクションシーンを次々に披露している。人間ドラマではなくアクションを強調した映画を撮るのならば、やはり格闘シーンも披露してほしかった。

またクラシックギターによる湿っぽいテーマがやたらと多用されているが、映像とまったく合っていない。このテーマが気に入っているのならば、ここぞというときにだけ使えばよかった。