退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『将軍家光の乱心 激突』(1989) / 千葉真一がアクション監督を務めたトンデモ時代劇

YouTubeの「東映時代劇YouTube」チャンネルで配信されていた、映画『将軍家光の乱心 激突』(1989年、監督:降旗康男)を鑑賞。千葉真一ヴィランとして出演しているとともに、アクション監督を務めている。

三代将軍家光(京本政樹)の嫡男竹千代は、日光で老中阿部重次松方弘樹)の放った刺客に襲われる。それを救ったのは、堀田正盛丹波哲郎 )が雇った石川刑部(緒方拳)ら7人の男たちであった。やがて竹千代は元服のため江戸城への出仕を命ぜられる。家光から忌み嫌われていた竹千代は、父から命を狙わていることを知りながら江戸に向かう。途中、幕臣随一の使い手伊庭庄左衛門(千葉真一)が執拗に付け狙い、刑部との壮絶な戦いが始まる。竹千代は期日までに江戸城に到着できるか……。


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名君と評判の高い家光が狂っていて顔を白塗りしてたり、時代劇なのにアルフィーの主題歌が流れたり、いろいろおかしい映画である。東映ひさしぶりの本格的時代劇映画は「トンデモ時代劇」だった。

それでもジャパンアクションクラブ(JAC)の面々の奮闘によるアクションシーンは見どころたっぷり。アクション監督の千葉真一がノリノリでやっているのが伺える。映画としての出来はともかくとして、たくさんの馬が疾走するアクションシーンだけでも見ては損はない。

クライマックスは緒形拳千葉真一の一騎打ち。尺とたっぷりとった殺陣は見応えがある。緒形拳が意外と動けるのは感心した。緒形拳が辛くも勝利を得るが、その後、大軍に囲まれての最期のストップモーションは『明日に向って撃て!』かと思ったが、あれでいいのか。

一方、本編の降旗康男監督にはやる気が感じられない。シナリオもご都合主義だし、仕方なく引き受けたのだろうかと勘ぐりたくなる。

とくに竹千代を演じた子役が棒なのは難がある。しかし最近よくみかけるやたらと上手い子役も時代劇ではどうかなととも思う。ラストで竹千代が刑部たちに思いを馳せるシーンはちょっとよかったので、あの子役でよかったのかもしれない。

いずれにせよ、ひさしぶりに懐かしい時代劇を見れた。「東映時代劇YouTube」に感謝。