TBS大型時代劇スペシャル・時代劇ドラマ「織田信長」(監督:中島貞夫)を鑑賞。初回放送は1989年正月。織田信長(渡辺謙)が「おおうつけ」と呼ばれた若殿から、戦国大名として地位を確立するまでの成長を描く。
主演の渡辺謙は、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』で主役・伊達政宗を演じた後の出演ですでに堂々たる風格である。「謙」は上杉謙信に因むというから時代劇への思いも特別なものがあったのだろうか。このドラマからは、その後世界進出を果たしハリウッド俳優と名を馳せることになるとは想像できない。人生はわからないものだ。
このドラマ「織田信長」はよく知られているエピソードをつないだオーソドックスな構成である。父・織田信秀(千葉真一)の死後、弟を排し織田家の家督を継ぎ尾張を統一し、岳父の斎藤道三(松方弘樹)と出会い、桶狭間の戦いで今川義元(佐川満男)を破るまでの疾走感が素晴らしい。その後はやや駆け足に進行し、安土城が竣工してドラマは終わる。本能寺の変は描かれない。
特技にジャパン・アクション・クラブが参加しており、父・信秀を千葉真一が演じているほか、徳川家康役に真田広之、羽柴秀吉役に黒崎輝が起用されていることにも注目したい。黒崎輝は秀吉はなかなかいい。これだけアクション俳優を揃えていてアクション・シーンがほとんどないのはもったいない。
女優陣は、お濃を名取裕子、寧々をかたせ梨乃が演じいていつもの顔ぶれ。注目すべきはアイドルの伊藤智恵理がお市(娘時代)役で登場していること。これは貴重。ちなみに成人後のお市は加納みゆきが演じている。
このTBS大型時代劇スペシャルは全11作が作られたが、いまみても見応えがある。たまに再放送してくれるのはうれしい。そのうち松平健主演の「平清盛」(1992)を見てみたいのものだ。