BS朝日で放送された4K大型時代劇スペシャル「紀州藩主 徳川吉宗」を鑑賞した。4K大型時代劇スペシャルと銘打たれた、いまどき珍しい3時間枠の時代劇テレビドラマ。「暴れん坊将軍」の前日譚ともいえる、吉宗が紀州藩主だったころの若き日の活躍を描く。主演は山本耕史。
紀州の者が続いて何者かに襲われるなか、紀州藩主・徳川吉宗(山本耕史)はその正体を探るためお忍びで江戸市中に出て探索を始める。江戸庶民との交わりのなか成長していく若き吉宗が描かれる。やがて陰謀は幕府中枢を巻き込んだお家騒動に発展する。大岡忠相(渡辺大)との友情を絡めながら陰謀を打ち砕くエンターテイメント時代劇。
殺陣あり、ラブコメさながらの恋愛あり、ミステリー風の謎解きありと盛りだくさんの脚本だが長尺ドラマに上手くまとまっている。時代劇のお約束を案内人(林家三平)が案内する工夫も面白い。
難点を言えば、若き吉宗を演じるのが中年の域に達している山本耕史だということ。吉宗は21歳という設定だが、山本の実年齢は42歳だという。やや若々しさに欠るが、時代劇を演じられる若手俳優がいないのもしれない。ちなみに大岡は24歳の設定。
もうひとつ気になったのは、吉宗の正体が明らかになった後も、吉宗と大岡が対等に会話している点だ。将軍になる前とはいえ、吉宗は大藩・紀州藩の藩主、一方大岡は直参とはいえ軽輩である。友情が芽生えたといえ、ふたりがタメ口なのは不自然に思えた。
また今回のヒロインは、赤穂浪士の娘という設定で渡辺麻友が起用されているがイマイチ。話題性を優先させたのかもしれないが、もう少し和服の着こなしができる女優がよかった。続編があるかわからないが、渡辺演じるヒロインは赤穂に旅立ったので出演は今回限りだろうか。