退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

東山紀之が一人二役を演じた「大岡越前スペシャル~初春に散る影法師~」を見た

元日に放送されたBS新春時代劇「大岡越前スペシャル~初春に散る影法師~」を鑑賞する。東山紀之主演『大岡越前』のスペシャル版の第3作。

大岡越前スペシャル ~初春に散る影法師~

魁道中を見物に出かけた岡っ引きたちが、大岡忠相東山紀之)を見かけと噂になる。その後、連続人斬り事件が発生し、目撃証言から忠相が下手人と名指しされる。一方、労咳におかされながらも吉原の用心棒をしている浪人・月嶋左内(東山紀之・二役)は、密かに櫻木太夫本仮屋ユイカ)の仇を討とうしていたが、櫻木太夫をそれを見抜いていた……。

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私にとって「大岡越前」といえば加藤剛であるが、昔のテレビ時代劇でも同じような話を見た気がする。主人公と瓜二つだがまったく境遇のちがう人物がドラマに登場するのは、昔からよくあるパターンであり、昔からストックされているエピソードのひとつだろう。

今回の目玉は東山紀之一人二役。剣鬼とも言える浪人が人斬りするシーンなど東山の殺陣の冴えを見ることができるし、越前VS越前を思わせるふたりの一騎討ちは見ごたえがあった。チャンバラを楽しみしている人は満足できただろう。

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一方、吉原を舞台にしているわりには小綺麗すぎて華がないのは気にかかる。テレビなのでそれほど過激な描写はできないだろうが、歓楽街の暗部が感じられないのは不満。

櫻木太夫を演じた本仮屋ユイカも、キレイではあるがとても太夫になれそうもないほど地味に思えた。武家出身で暗い過去を背負っていることを差し引いてもキャスティングに疑問が残る。それならせめて吉原に綺麗どころを何人か配してほして補ってほしかった。

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このドラマに出ていた忠相の嫡男はまだ幼く、小学生低学年ぐらいだった。加藤剛版「大岡越前」では、息子が成長して吉原に通うようなエピソードもあった憶えがある。東山紀之版「大岡越前」も、そうしたエピソードが登場するのだおるか。それまで続いてほしいものである。

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