退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

唐沢寿明主演の時代劇テレビドラマ「明智光秀〜神に愛されなかった男〜」が面白かった

今年の大河ドラマ麒麟がくる」は逆臣とされている明智光秀を主人公にしている。その影響により、これまであまり振り返られることがなかった武将・明智光秀に注目が集まっている。本作は、2007年にフジテレビ系列で放送された時代劇テレビドラマだが、再放送されたのは「麒麟がくる」のおかげだろう。

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主人公・光秀役は唐沢寿明、その妻・ひろ子役は長澤まさみ長澤まさみの語りで物語が進行していく。その他のキャストは、織田信長上川隆也羽柴秀吉(藤吉郎)を柳葉敏郎が演じている。大河ドラマ級のキャストだが、どこかこれまでに演じた役の色がついていると思ったのは私だけだろうか。

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2時間余りのテレビドラマなので多くは期待できないが、信長に仕えていた生真面目な光秀が葛藤の末、謀反を決意し本能寺に変に至る過程、そして山崎の戦いで敗死するまでがよく描かれている。山崎の戦いで光秀と秀吉が鉄砲を撃ち合う一騎打ちを演じるのは、明らかにフィクションだがドラマの終わり方としては悪くない。

このドラマの最大の見どころは、延暦寺焼き討ちのシーンだろう。信長から延暦寺攻めの総大将を任じられた光秀が、不本意ながらも織田軍の作戦を立案し、自らも前線で太刀を振るう。延暦寺の堂塔が次々に炎上する場面はなかなか迫力がある。

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本能寺の変を描くドラマでは、光秀の謀反に至る動機がどのように演出されているのかがポイント。このドラマでは、信長が覇権をとり日本では天下布武を達成したあとも、拡大主義の信長は戦争を止めず、平穏な世の中が訪れないことを懸念した光秀が信長に見切りを付ける。光秀は、自らが謀反人となり信長を取り除いたあとに、秀吉に討たれることで秀吉に天下を取らせて、戦のない世への捨て石になろうと決意する。そんな設定だった。

まあそうした設定をアリだろうが、光秀自らが天下人になって理想の世づくりをしようという発想はなかったのか。そうした疑問は残るものの、ドラマとしてはなかなか楽しめた。唐沢寿明の光秀も悪くない。