「東映時代劇YouTube」チャンネルで配信されていた、時代劇スペシャル『戦国乱世の暴れん坊 齋藤道三 怒涛の天下取り』(監督:工藤栄一)を見る。1991年にテレビ朝日系列で「新春大型5時間時代劇スペシャル」とした放送された。主演は松平健。
浪人の子に生まれた庄五郎が、父の意志を受け継ぎ、下剋上の戦国乱世に一国一城の主になる野心や理想を胸に、戦国大名『齋藤道三』として成り上がっていく姿を描く。
庄五郎(松平健)は、荒れ果てた京で油問屋の奈良屋の一人娘・田鶴(斉藤慶子)を助けたことから請われて奈良屋の婿となる。豪商の主となり巨万の富を得たが戦国大名となる夢を捨てきれなかった。やがて美濃国に目をつけて、郎党とともに乗り込み土岐頼芸(田中健)の家臣となり、権謀術数をめぐらし次第に勢力を拡大していく。ついには頼芸を美濃から追放して、戦国大名・齋藤道三として名乗りを上げるが……。
みんな大好きな斎藤道三の物語。最近では本木雅弘が大河ドラマ「麒麟が来る」で道三を演じて評判になった。本作では松平健が主演していて芝居を堪能できる。松平健と言えば、最近松屋に行ったところ、「マツケンサンバ」が店内に流れていて驚いたことがある。
最近の戦国時代のテレビドラマでは戦のシーンがショボいことも多いが、本作では大規模にエキストラが動員されていて見ごたえがある。大作の時代劇テレビドラマに予算がついた最後の時期かもしれない。
松平健と言えば「暴れん坊将軍」が代表作だが、これを彷彿させる冴えた立ち回りのシーンが用意されている。甲冑姿でこんなに動けないだろうと思うが、これもファンサービスなのだろう。
女優陣も、道三の側室・深芳野に秋吉久美子、油問屋の一人娘・田鶴に斉藤慶子、夕顔太夫に萬田久子となかなか豪華。本作はおよそ30年前のテレビドラマだが、残酷なようだが年月の流れがいちばんわかるのは女優たちの容姿だろう。
またこうした大型時代劇にはなぜかアイドル枠がある。本作では道三のもとで働くあぐりを佐野量子が演じていて、最期戦いの最中に道三の胸のなかで命を落とす場面はなかなかよかった。他には織田信長(仲村トオル)の正室となる濃姫役に藤谷美紀が起用されている。これでいいのと思う芝居だがこれもファンサービスだろう。
本作は5時間枠で放送され、本編尺4時間越えの時代劇スペクタクルである。道三が義龍に討たれるまでやるのかと思ったが、有名な正徳寺での織田信長との対面から土岐兄弟を迎え撃つために出陣する場面で終わっている。これだけ長尺なのだから道三の最期までやってほしかったが、4時間あっても足らなかったのだろうか。
さて私は本作をアーカイブで見たが、元旦にはプレミア配信されたらしい。CMなしで見るのはツライのではないかと思ったが、リアルタイムで楽んだ人も多いようだ。元来、新春に放送された作品なので正月向きだったのだろう。東映の太っ腹に感謝。