退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『武闘拳 猛虎激殺!』(1976) / 和製ドラゴン・倉田保昭の東映初主演作

YouTubeの「TOEI Xstream theater」チャンネルで配信されていた、映画『武闘拳 猛虎激殺!』(1976年、監督:山口和彦)を鑑賞。主演は和製ドラゴンの異名をとった倉田保昭

寅年だからこの作品が選ばれたようだ。正月休みのせいかプレミア配信はなく以前配信した作品の再配信だった。

メキシコで修行を積んだ主人公・竜崎鉄次(倉田保昭)が日本に帰って来た。鉄次は父と兄の仇を探し求めて、不気味な謎をはらむ奇巌城(ロケ地は熱海城)に乗り込むが、そこには名うての武斗集団が待ち構えていた。敵を次々に倒した鉄次に、ラスボスの人喰い虎が襲いかかる……。

aj-20) 劇場映画ポスター【武闘拳 猛虎激殺!】倉田保昭 矢吹二郎 清水健太郎、1976年東映カンフー映画

コンセプトはブルース・リーの『死亡遊戯』とすぐにわかる潔いパクリ映画。実に東映らしい。『死亡遊戯』ではラスボスが巨躯の黒人だったが、本作ではトラとなっている。

後にテレビドラマ『Gメン'75』で活躍する倉田保昭が香港仕込みのカンフー・アクションを披露していてカッコいい。当初、この企画は千葉真一に持ち込まれたが、「動物相手のショーは嫌だ」と拒否したことで倉田にお鉢が回ってきたという。

倉田のほかには、特撮ファンには『仮面ライダー』で滝和也を演じていた矢吹二朗千葉真一実弟)が助演しているのも見どころ。アクションだけでなく、倉田にリングで敗れていったん身を持ち崩したのちに復活するという難しい役どころ。矢吹の芝居も楽しめる。最期はトラにやられちゃいますが。

目玉は主人公と本物のトラとの格闘だが、これがアブナイ。コンプライアンスなんて言葉がなかった時代の映画だけど、いまなら絶対アウトだろうなと思わせる迫力のある映像が撮れている。

ラストで親の仇である石橋雅史を主人公が倒して奇巌城が炎上する。これがショボい。さすがに炎上させる模型をつくる予算はなかったのか。このあたりはB級映画の宿命だろう。

何も考えずに楽しめる映画であり、正月向きの作品と言えよう。