退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『ゴルゴ13』(1973) / 高倉健主演の実写版「ゴルゴ13」

YouTube東映シアターオンライン」チャンネルで配信された映画『ゴルゴ13』(1973年、監督:佐藤純弥)を鑑賞。原作はさいとう・たかをによる同名漫画。初の実写映画化作品となる。主演は高倉健東映映画。

某国秘密警察部長フラナガンは犯罪王ボア殺害のため暗殺者ゴルゴ13高倉健)を雇い入れる。ゴルゴはイランのテヘランにとびターゲットを追う。一方、イラン警察のアマンは、警備を強化してゴルゴを迎え討つ。ゴルゴと警察、犯罪王一味の三つ巴となり、砂漠を舞台に息づまる追跡戦が展開されるが……。


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全編がイランでロケーション撮影され、主演の高倉以外はすべて外国人俳優が演じた。外国人俳優のセリフは日本人声優によるオール吹き替えという不思議な映画である。ちなみにゴルゴを追う警察幹部アランの声は山田康雄があてており、ルパン三世を思わせてちょっとおもしろい。

デューク東郷が利き腕を相手にまかるのを嫌い悪手を拒否したり、後ろに立たれることを許さず相手を叩きのめすなど、ゴルゴ13の「お約束」が再現されている。

それでも本作はアクション娯楽映画というテイストであり、ゴルゴ13の原作とはかけ離れている。ゴルゴはもっと用意周到で慎重だろう。あっさり敵に捕まったり、すべての行動が行き当たりばったりなのだ。またゴルゴの銃器の扱い方もいまいちで超人スナイパーというにはほど遠いのも残念。

それでもイラン革命以前のイランをロケした成果は十分にあり、当時のイランの様子をフィルムに収めた貴重な映像となっている。砂漠の夕陽のシーンも文句なく素晴らしい。

ゴルゴが、白い「縦目ベンツ」を駆ってカーチェイスをする場面もカッコいい。途中で車を失って砂漠を徒歩で彷徨うシーンは、ゴルゴならこうはならんだろうとは思うが絵にはなっている。さすが高倉健

あと残念だったのはヒロインのキャスティング。一応、ゴルゴの相手役である女優が登場して情事に至るが、現地では名のある女優なのかもしれないが、日本人にとっては「おばさん」でちょっと萎える。もう少しなんとかならなかったのだろうか。

ちなみに高倉健主演のゴルゴ13は本作のみだが、東映は何を思ったのか1977年に千葉真一主演で『ゴルゴ13 九竜の首』という映画を製作している。こちらも同チャンネルで見たいものだ。