退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『妖星ゴラス』(1962) / 東宝特撮映画の超大作

近くのシネコンで「午前十時の映画祭」のプログラムの一本として、映画『妖星ゴラス』(1962年、監督: 本多猪四郎)が上映されていたので鑑賞する。特撮の巨匠・円谷英二による東宝特撮映画50本目の集大成を目指して、企画・製作された超大作。

謎の大質量の天体ゴラスと地球との衝突を回避するために、地球の公転軌道を変えるという奇想天外なストーリー。アメリカ映画ならゴラスを破壊するという映画になるだろうが、本作では地球を動かすという発想が秀逸。


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名画座で何度か見て感銘を受けた映画だが、今回デジタルリマスターでDCP化されたと聞いて、見るのが楽しみにしていた。60年以上前の映画が、こうして蘇るのはすばらしい。公開当時、本作は商業的にはイマイチだったらしいが、次の世代に伝えるのにふさわしい一本である。大スクリーンで堪能した。

私の好きなシーンは、地球の軌道を変えるために南極に設置される巨大ロケット推進装置(ジェットパイプ)の建設工事のシーンである。サンダーバードよりも前に製作された映画なのに、大規模なミニチュア特撮が日本でつくられていたのは快挙である。

ただし昔から物理的にどうかと思うことはある。例えばゴラスを回避したあとジェットパイプの噴射を止めると、地球が止まるのはどうだろう。そのまま慣性で動き続けて公転軌道を逸脱するのではないか。まあ野暮のことを考えずにハードSFの世界に浸るのがよいだろう。

余談だが「午前十時の映画祭」は評価の定まった、いわゆる名作が上映されることが多い。万人向けではないが、これは見とけというカルトな映画も取り上げてほしいものだ。