シネマヴェーラ渋谷の《デビュー50周年記念 女優・梶芽衣子》という企画で映画『日本残侠伝』(1969年、監督:マキノ雅弘)を鑑賞。巨匠・マキノ雅弘が日活で撮ったレアな任侠映画。主演は高橋英樹。
東映の任侠映画が好調なのを横目に、日活が「オレもひとつ任侠映画撮ってみようか」と思ったのか知らないが、巨匠・マキノ雅弘を招いて撮った任侠映画。「昭和残侠伝」と「日本任客伝」を合わせてようなタイトルだ。
高倉健や鶴田浩二の代わりに、当時若手だった高橋英樹というのはやはり無理がある。任侠映画では、数々の理不尽にストイックに耐えてついに爆発するのがパターンだ。しかし高橋には「耐える」のが似合わずに沸点が低そうだ。
冒頭のシーンでツマラナイことで喧嘩沙汰になり、警官に乱暴をはたらいて収監されていてる。ずいぶん軽いなあと思った、東映の任侠映画とひと味違うのかなと期待させる。しかし結局、ラストは殴りこみというお決まりの展開にがっかり。
それでもさすがマキノ雅弘監督は手慣れていて見どころを心得ているし、長門裕之や南田洋子らの共演者も達者なので飽きることなく見られる。しかし何かが物足りない。高橋英樹のエネルギッシュな持ち味を活かしたストーリーのほうがよかっただろう。
ちなみに本作が梶芽衣子のお披露目。ポスターには「太田雅子改め梶芽衣子」の表記がある。木曽出身の薄幸の女郎役。着物が似合う女優だとなあと改めて感心した。