映画監督の鈴木清順さんの訃報が届きました。93歳でした。
鈴木清順監督と言えば、『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)、『陽炎座』(1981年)、『夢二』(1991年)の三部作で知られていますが、私は日活時代の作品が印象に残っています。
日活では『港の乾杯 勝利をわが手に』(1956年)で監督デビューして以降、小林旭、高橋英樹、宍戸錠らを主演に迎えて多くのプログラムピクチャーを手がけましたが、『殺しの烙印』(1967年)が社長の逆鱗に触れ日活を解雇されます。
まあ殺し屋の主人公(宍戸錠)がご飯を炊く匂いが好きという謎の設定で、バーのカウンターで「飯を炊いてくれ」というものだからもうワケが分かりません。カルト映画ならそれでもいいでしょうがが、大衆向けのプログラムピクチャーですからね。
これで映画監督のキャリアは終わりかと思いきや、約10年間の雌伏を経て映画界に復活。上述の三部作などの作品を残しています。監督はそれで納得していた分かりませんが、ファンとしてはやはり油の乗り切った時期のブランクが惜しまれます。
多くの映画ファンの支持を集めている鈴木清順監督ですから、きっと名画座で追悼企画が組まれるでしょう。代表作の『東京流れ者』(1966年)、『けんかえれじい』(1966年)、『殺しの烙印』(1967年)は当然プログラムに入るでしょうが、他にも日活時代の知られていない作品をたくさん見れたらいいなと思っています。
ご冥福をお祈りします。
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