退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『シン・ウルトラマン』(2022) / 庵野秀明x樋口真嗣によりリブート作品

近くのシネコンで映画『シン・ウルトラマン』(監督:樋口真嗣)を見てきた。1966年に放送された特撮テレビドラマ『ウルトラマン』のリブート映画。公開延期になったときはどうなるのか心配していたが、ずっと楽しみにしていた作品だった。

映画館で見てよかったと思えるほどには満足した。単純にウルトラマンはカッコよかったし、CGとミニチュア特撮を融合させた表現も個人的にはツボだった。また後半登場する山本耕史のメフィラス(星人)が美味しいところぞ全部持っていったのも印象的だった。

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それでも言いたいことがあるので、以下にいくつか述べてもみる。

まず「人間ドラマが希薄である」こと。映画全編が総集編というか、ダイジェストを見せられているようだった。テンポがいいと言えばそうだが、話が断片的でつながりが薄い。おのずの登場人物の描写も不十分で、人間ドラマが生まれようもない。とくにウルトラマンがなぜ人類にあれほどまで肩入れするのか伝わってこなかった。映画としてはどうなのかと思う。アニメ的と言ってもいいかもしれない。

つぎに「科学特捜隊がでない」こと。劇中、「禍特対(かとくたい)」が巨大不明生物「禍威獣(かいじゅう)」に対処するために設置されているが、専用の兵器は保持しておらず実戦は自衛隊まかせである。オリジナルのようにオレンジの制服もなければ、ユニークなデザインだった基地もない。なによりビートルが再現されていない。ここは特撮の醍醐味だと期待していたが大いに不満に思った。

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そして「ゼットンの設定が納得いかない」こと。ネタバレになるが詳しく述べないが、ゼットンがゾーフィが地球人を滅ぼすために光の星から持ってきた「天体制圧用最終兵器」として描かれている。まるでエヴァンゲリオン使徒みたい。実写版「エヴァンゲリオン」をやりそうな悪寒を感じた。普通にゼットンウルトラマンは地上で戦ってほしかった。さらにゼットンの倒し方も『なんだかなー」と思った。こんなのでいいのか。

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いろいろ書いたが、総じて楽しかったし何度も見たいと思った。三部作ぐらいでじっくりつくってほしかったという思いは拭えないが、庵野秀明には「エヴァンゲリオン」の“前科”があるから許されなかったかも……。個人的には次は『シン・ウルトラセブン』やってほしいが、興行成績によっては可能性があるかもと期待したい。


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余談だが、私がシネコンで映画を見たのは映画『大怪獣のあとしまつ』以来だった。そのときは「やっちまった~」とひどく後悔したものだが、それと比べてもい方ないが今回はかなり満足した。それにしても『大怪獣のあとしまつ』とキャストがかなりかぶっているのはおかしかった。怪獣映画に出てくれる俳優は限られているのかな。