先日近くのシネコンで映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年、監督:マイケル・ドハティ)を鑑賞。レジェンダリー・ピクチャーズによるモンスターバースシリーズ第3作。怪獣映画ファンを自認する私としては見逃せない。
怪獣バトルシーンはよくできている。予告映像で期待したどおりの素晴らしさ。ゴジラだけでなく、キングギドラ、モスラ、ラドンなどの東宝ゴジラシリーズの怪獣たちがハリウッドの最新映像技術でスクリーンに蘇る映像を堪能した。ほぼ満足。ただし、なぜか全編昼か夜かわからない、モヤか霧がかかったような映像なのが気になった。もっとクリアな映像を見たかった。復習のため『GODZILLA ゴジラ』(2014年)を見てきたが、同じような画作りだった。そうしないとCGがカッコよく見えないのか、これがアメリカ人の感覚なのかわからないがすっきりしない。
怪獣バトルシーンには概ね満足したが、ドラマパートは雑だなという印象は拭えない。ハリウッド映画にありがちな「家族の絆」を盛り込んでくるのは仕方ないが、子ども向けにしてもいい加減すぎる。東宝のゴジラシリーズが凋落していった流れを思い出してしまう。
過去のゴジラシリーズをよく研究したことは十分にわかる。様々なシーンで、これはどこそこのオマージュだなということがわかるのは楽しいが、このためにドラマパートがいい加減ではいけないだろう。
ツッコミたくなる箇所が多々あるが、ひとつだけ挙げると、芹沢博士(渡辺謙)がある目的のために自己犠牲を払う場面がおかしい。「ほかに方法があるんじゃね?」と誰しもがツッコミをいれただろう。初代ゴジラの芹沢博士のオマージュにしたいだけの茶番と言われても仕方ない。
過去作品を研究しているわりに、怪獣を呼び覚ますために核兵器を使うなど、ゴジラの本質からかけ離れた脚本なのは、どうしたものか頭を抱えたくなる。こんなことを思うのは被爆国の日本人だけかもしれないが、さすがにマズいのではないか。
エンドロール後に次回作につながる短い映像があるのでお見逃しなく。メカキングギドラが登場するのだろうか、と期待してしまう。