退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『日日是好日』(2018) / 茶道の所作が延々と続く静かな映画

映画『日日是好日』(2018年、脚本・監督: 大森立嗣)を鑑賞。原作は、森下典子による自伝エッセイ『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』。主演は黒木華。タイトルの「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」は禅語。

大学生の典子(黒木華)は茶道を勧められ、戸惑いながらも従姉妹・美智子(多部未華子)とともに、タダモノではないという噂の茶道の武田先生(樹木希林)の茶道教室に通うことになる。さっそく先生の家で稽古をはじめるが、意味も理由もわからない所作に戸惑うばかり……。


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主人公・典子の大学生から40歳過ぎまでを描くが、人間ドラマはほとんど出てこない。就職がうまくいかなかったり、失恋したり、一人暮らしを始めたり、そして新しい恋人ができたりするが、映画のなかではほとんど簡単に片づけられている。

ひたすら静かな茶室と四季の移ろいを中心に物語が進んでいく。最近見かけない静かな日本映画。原作がエッセイということもあり、短いエピソードをつないでいく手法が成功している。

この作品が樹木希林の遺作となった。茶道の先生としての威厳、存在感が素晴らしい。主演は黒木だが、樹木が演じた先生がいなければ成立しない映画だろう。この先生役を見るだけでも、この映画を見る価値がある。

本筋とは関係ないが映画でちょっと引っかかったのは、茶道教室の生徒がみんな女性であること。男性の生徒はいないのだろうか。その点はずっと気になったままだった。