連休中にマンガ『北斗の拳』(全14巻・完全版)を読み返した。『北斗の拳』は、武論尊(原作)と原哲夫(作画)により、1983年から1988年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載され、当時一大ブームを巻き起こした伝説の作品。若い人はパチンコ屋で見かけるだけかもしれない。
今回読んだのは。なぜか集英社ではなく小学館から2006年に出版された「完全版」だった。単行本よりサイズが大きく、ちょっと立派な装丁がなされていた。一冊がずっしりと重い。
もう連載から40年近くの歳月を経ている作品であるが、ノスタルジーを抜きにしても今読み返して一気に読ませる漫画は少ない。バトル中心でコマが大きく文字が少ないということもあるがサクサク読める。
読み返して思うのは、やはりこの漫画はラオウが斃れたところで完ke結する予定だったのだろうということ。その後のストーリーは蛇足とまでは言わないが、前半の凄まじいパワーが損なわれていて、登場するキャラクターも影が薄い。それでも後半も面白いのだが、当初の予定で終わっていたほうが作品としての完成度は高かっただろう。
作品があまりに人気を博したので、仕切り直して無理やり連載続行した気配が感じられる。ジャンプ漫画の悪弊が如実に現れているとも言える。
最終盤に主人公・ケンシロウが、ラオウの忘れ形見「リュウ」ともに旅をするエピソードがある。ケンシロウが、一子相伝の北斗の拳をリュウに伝えるのかと思いきや、旅の途中で「じゃあの」とばかり、ふたりは別れてそのまま作品が終了して、さすがに拍子抜けした。連載打ち切りだったのだろう。
北斗の拳をめぐる数々の悲劇は「一子相伝」であることに起因していることを考えれば、ケンシロウが北斗の拳を誰にどのように伝えるのかをきちんと描くべきだったろう。このように後継者のことを意識するのは、私自身が歳をとったためかもしれない。