松田奈緒子によるコミック「重版出来!」（じゅうはんしゅったい）が完結していた。全20巻。週刊コミック誌の編集部を舞台に、女性漫画編集者・黒沢心を主人公として、漫画家とともに奮闘しながらヒット作を世に出していく、漫画業界のリアルと描く。
さっそく最終巻をチェック。白をベースとした表紙が最終巻を演出している。完結しないまま放置される漫画作品もままあるなか、ちゃんと完結したのは立派。連載開始は2012年なので、あしかけ11年の長期連載となった。劇中ではどのくらいの時間が流れたのだろうか。リアルタイムで時が流れているとすれば黒沢も30代の中堅ということになるが……。
最終巻は大団円。不安定でハラハラさせられた中田伯の成長を見届けることができたし、高畑が世界的な賞を受賞するなど、主要登場人物たちの明るい未来を予感させる閉幕。予定調和でキレイな終わり方なのだが、やや物足りない気もする。
最終巻で柔道のオリンピック強化選手だった主人公が、逃げようとするストーカーのおっさんを投げ飛ばすという「見せ場」も用意されている。素人が路上で投げられたら死ぬだろ、というツッコミは野暮なのだろう。
物語の構成上、到達するべきゴールがあるわけでもなく、倒すべきラスボスがいるわけでもなく、終わり方が難しいのは予想に難くない。こういう無難な終わり方しかないのかもしれない。
それにしても当初の絵柄と随分と変わったなぁ。とにかく11年間お疲れ様でした！
ちなみに本作は、2016年に黒木華主演でテレビドラマ化されて驚いた記憶がある。完結記念に再放送してもらえないものだろうか。
