退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

盛田賢司のコミック『しっぷうどとう』を読み終わった

最近、気になっていた昔の漫画を読み漁っている。この盛田賢司『しっぷうどとう』(全11巻)も、そのなかのひとつ。漫画雑誌『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で1996年から1998年にかけて連載されていが剣道漫画である。

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高校受験に失敗して、不本意に入学した高校で落ち込んでいた佐倉神城高等の新入生の・長門烈。そんな彼が、剣道部2年の阿南俊に出会ったことをきっかけに剣道部に入部する。剣道未経験の長門が理不尽で厳しいシゴキを受けながらも、次第に才能を開花していく……。

剣道の描写はよく描けていてフツーに面白いが何か物足りない。

運動未経験の新入生が持ち前の才能を開花させて活躍するというのは、よくある話で陳腐ですらあり、新規性に欠ける。自転車で鍛えた下半身の強靭さを武器にするという設定もどこかで聞いたことあるような……。しかし、それだけで剣道で勝てるほど甘くないだろうと思わなくもない。

また登場人物の人間が出来すぎている。いい人ばかりだ。ろどろとした人間の嫌なところが出てこないのも、全編通して青臭い印象を受ける。

そしてヒロイン不在なのも、いま読むと物足りなさを感じる点である。せめて剣道部顧問の三田コーチのエピソードを交えて人物業者を深堀りしてほしかった。

最終巻のカバーを見たとき、「人数が少ない」と思ったが、裏表紙に回り込むデザインで全員集合という仕立てになっていた。このように絵はいいんだけどな……。

剣道漫画のなかでは、村上もとかの『六三四の剣』がいちばん好きだが、それに比べると見劣りするとうのが率直な感想である。この次は、土塚理弘五十嵐あぐりによる『BAMBOO BLADE』を読んでみようかな。