退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

安野モヨコのコミック『ハッピー・マニア』を読み終りました

安野モヨコによるコミック『ハッピー・マニア』(文庫版全6巻)を読了。この作品は1995年から2001年にかけて『FEEL YOUNG』に連載されていた(らしい)。

ハッピー・マニア 1 (祥伝社コミック文庫)

ハッピー・マニア 1 (祥伝社コミック文庫)

作品名だけは知っていたが、レディースコミック誌の連載ということもあり未読だった。しかし昨年世田谷文学館で開催された「安野モヨコ展 ANNORMAL」展で触発さ、これは一度読んでみなければと思っていた。時間ができてようやく全巻読了。

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90年代からミレミアムのにわたり一世を風靡したコミックであり、男目線から見ても当時の女子を捉えてるように思えた。まあシゲカヨのような無軌道な女子がいても困るだろうし、男性から見てもタカハシのように行動できないだろうなぁ。若い頃に読んだらまた違ったのかもしれないが……。

この作品の中盤の無軌道というか、いきあたりばったりなのか周到に準備されたものなのかわからないが、ストーリーの方向性がまったく想像できないところが最大の魅力だろう。

タカハシが蜂に刺されて記憶を失くすあたりからのストーリーの転換がすごい。最終巻の表紙がシゲカツの花嫁姿から、家局ふたりは結ばれるかに思えたが……。シゲカヨの「ラブハンター」としての性が全開になって含みを残してエンディングを迎える。余韻があっていい幕引きだ。

また当時、社会を席巻したブランド名や商品名も懐かしい。フーゾク的な資料としても貴重かもしれない。そして主人公シゲカヨは、ひどい目に会いながらもたくましい。不安定ながら仕事を見つけて労働しているのも当時のネットのない時代を反映しているのだろうか。いまならニートとかになっていそうだ。

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この作品はレディースコミックなので過激な性描写もあり、お子様には見せれない内容だ。しかし驚くべきことに、1998年に稲森いずみ主演でテレビドラマ化されている。フクちゃん役は藤原紀香。当時、テレビドラマは結構見ていたのが、このドラマは憶えていない。どうせエッチなシーンはないだろうが、稲盛いずみのシゲカヨを見てみたくなった。

ハッピーマニア(1) [VHS]