退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『さくらん』(2007) / 極彩色で描く土屋アンナ主演の異色の花魁モノ

Amazonプライム・ビデオで映画『さくらん』(2007年、監督:蜷川実花)を鑑賞。原作は安野モヨコの漫画。脚本はタナダユキ、主演は土屋アンナ

先日、世田谷文学館で開催された安野モヨコの原画展を見に行ったとき、「そういえばこの映画見てないな」と思ったので見てみた。公開当時、大いに話題になったが、予告編を見てどうも映像がけばけばしくて苦手に思って見に行かなかった。

舞台は吉原。遊郭「玉菊屋」に売られてきた少女・きよ葉(小池彩夢)。遊女の世界に恐れをなしたきよ葉は逃亡を試みるとがすぐに捕まってしまう。店番の清次(安藤政信)に「桜がもし咲いたら」たら吉原から出していると言われる。時は流れ、吉原一の花魁になることを決意しあきよ葉(土屋アンナ)は花魁街道を驀進していくが……。


映画『さくらん』(2007年公開)

ストーリーは、ひねりもなく長編映画としては浅い印象は拭えないが、映像作品として見ればなかなか楽しめる。蜷川実花の写真家としてのセンスが映像にストレートに出ているのは評価できる。実相寺昭雄ばりの素人っぽいカメラワークはご愛嬌か。

とにかく派手で極彩色の映像に圧倒される。そこに椎名林檎のロックが乗っかってくると壮大なミュージックビデオかなと思うが映画ではなく映像作品としてはアリだろうか。どうせなら椎名も出演すればよかったのに。

個人的には、土屋アンナがトップ花魁になれたのが不思議に思えた。女性受けはしそうだけど、男ウケはしないではないかと。そんなことを思いました。

この作品は、映画館の大きなスクリーンでみるとよいかもしれない。公開時に毛嫌いしたのが悔やまれる。やはり食わず嫌いはよくない。