退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『暗殺の森』(1970) / ベルトルッチ監督による映像美を修復されたDCP映像で堪能

早稲田松竹で映画『暗殺の森』(1970年)を鑑賞。昨年死去したベルナルド・ベルトルッチ監督 (Bernardo Bertolucci, 1941-2018)の追悼企画。修復デジタル映像によるDCP上映だった。

暗殺の森 Blu-ray

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1930年代後半のローマ。幼い頃のある出来事により性的トラウマを抱えた青年マルチェロ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、哲学講師になったがトラウマから逃れるようにファイストに傾倒し、体制順応者として生きていた。ブルジョア出身の女ジュリア(ステファニア・サンドレッリ)と婚約し、ファシスト組織の一員となったマルチェロは、大学時代の恩師で反ファシズム運動の精神的支柱となっているルカ・クアドリ教授(エンツォ・タラシオ)の調査を命じられて、ジュリアとともに教授の亡命先のパリに向かう。やがて指令が教授の暗殺に変更される。ふたりの前に教授夫人アンナ(ドミニク・サンダ)が現れて……。


The Conformist (Il Conformista) - Bernardo Bertolucci - Theatrical Trailer by Film&Clips

ムッソリーニ政権下のイタリアを部隊にした「性と政治」のドラマとも言われるが、むずかしいことはひとまず措いて、官能的な映像美を楽しむのがよいだろう。撮影監督のヴィットリオ・ストラーロの仕事がすばらしい。まるで絵画のような構図、微妙な光の描写にため息がでる。 とくにダンスパーティーのシーンは必見。

この映画はドミニク・サンダの魅力を日本に伝えた映画ともいわれるが、個人的には主人公マルチェロの婚約相手であるステファニア・サンドレッリのほうが趣味である。どちらも映画女優らしい美しさでヨーロッパ映画を見たなという気分になる。

ちなみにタイトルの『暗殺の森』は終盤、教授がファシスト組織の工作員たちに暗殺される場面からとったのだろうが、映画全体を表していない。原題はIl conformista、英語では、The Conformist(「体制に順応する人」の意)で、主人公マルチェロのことを指している。

古いヨーロッパ映画は傷んだフィルムで見ることが多いが、今回はレストアされたデジタル映像によるDCP上映だった。映像がきれいすぎて少し違和感もあったが、美しい映像をスクリーンで見られて足を運んだ価値があった。ベルトルッチ監督の没後、都内で企画上映のイベントがいくつがあったが、出かければよかったといまさらだが後悔している。

日本映画の名作も文化事業としてDCP化してほしいものである。

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