最近「釣りバカ日誌シリーズ」をつまみ食いしているが、最終作『釣りバカ日誌20 ファイナル』(2009年、監督:朝原雄三)を鑑賞する。西田敏行と三國連太郎のコンビで1988年に始まった「釣りバカ日誌シリーズ」第22作(レギュラーシリーズ第20作)にして最終作。
旧友の墓参りを思い立ったスーさん(三國連太郎)は、旧友の娘・葉子(松坂慶子)を誘い、会長賞の褒美で釣り休暇をもらった浜崎(西田敏行)を帯同して北海道に飛び立つ。葉子には、北海道には獣医をしている娘・裕美(吹石一恵)がいたが、男(塚本高史)と同棲していると知り錯乱してしまう……。
北海道の大自然での渓流釣りのシーンが素晴らしくラストにふさわしい。しかし松坂と吹石のエピソードはあっさりしすぎていて物足りない。せっかく松坂を呼んだのにもったいない。
終盤、スーさんが倒れて生死の間を彷徨い、映画が「三途の川」やの場面にワープする。このくだりは必要だったんのか。「奪衣婆」のシーケンスはブラックユーモアを狙ったのだろうが、突き抜けてなくて悪乗りがすぎるという印象しかない。ミュージカル・パートの完成度が低いのも残念。
その後、スーさんは一命をとりとめると、会長退任を決意して社員たちの前で最後のスピーチをする。さすが、このあたりの三國は実に上手い。演壇から社員に語りかける形を借りて、映画の観客に語りかけるあたりはよくできている。演壇に関係者が次々に登場する流れも完結編としてきれいにまとまっている。
正直、長期にわたり続いた松竹の人気シリーズの最終作としてはもう少しプラスアルファがほしい気もしたが、一応終わったなといういう納得感はあった。