退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

NTTによるドコモを完全子会社化で思ったこと

NTTが傘下の携帯電話会社NTTドコモを完全子会社化すると、9月29日に発表した。ちょっと驚いたが、今後の移動体通信の重要性を考えるとあり得る経営戦略ではないかも思った。持株会社であるNTTにはNTTグループを強化する意図もあったのだろうが、政府の意向も後押しもあり、両者の利害一致したのだろう。


NTT、ドコモの完全子会社化を発表 共同会見(2020年9月29日)

菅義偉首相は、政権の目玉政策に携帯電話料金の引き下げを挙げている。民業に口出しするなよと思ったが、ついに禁じ手でもある「NTTによるドコモを完全子会社化」という荒業を使ってきた。

ドコモ完全子会社化することにより、当然ドコモ株は上場廃止となり一般株主はいなくる。これまでは政府に値下げを要望されても「株主がいるから無理っす」という言い訳をしてきたのだろうが、それが封じられた。もちろん経営陣も一新されるだろうから政府の意向がより反映されるようになる。

携帯電話料金の値下げについては、もはやドコモ単体での利益を考えなくてもよくなるため、NTTグループの企業体力に応じて大幅に値下げできるようになる。実際にどのくらい値下げしてくるのかわからないが、政府は3割とか4割の値下げを謳っているので、それに応じていくのだろうか。サブブランドを展開するのかもしれない。

消費者にとっては、値下げは歓迎したいところだが、長期的にこのような市場原理に基づかない官製価格がどのような結果が招くかは注意が必要だろう。NTTと他のキャリアの企業体力は考えれば、NTTの寡占状態が携帯電話市場でも実現する可能性は高い。これは消費者に利益につながるの大いに疑問である。

もっとも、これまで携帯電話会社の間で競争が起こらないで、携帯電話料金が高止まりしているのも不可解である。まあ3社寡占で談合しなくても阿吽の呼吸で高水準の利益を上げているのだから、わざわざ競争する合理的理由がないのだろう。

私はMVNOのユーザーだが、MVNOが今後どうなるのかという点がいちばん気になっている。消費者が携帯電話料金が高いというならば、MVNOのシェアがもっと増えてもいいのだがそうはなっていない。消費者に受け入れられていないのだ。この理由はわからないが、日本人特有の消費性向があるのだろうか。MVNOは安くでいいのになぁ。

NTT DoCoMo Yoyogi Bldg / spire