NTTドコモとそのグループ企業mmbiは11月27日、スマートフォン向けマルチメディア放送の「NOTTV」を2016年6月30日に終了すると発表されました。
NOTTVとは、地上アナログ放送終了後のVHF-Highバンドの帯域を使い、2012年4月からスタートした放送サービスです。視聴したい場合は対応する携帯電話端末を購入し電話の契約をする必要あるという、利用者にとってはハードルの高いサービスでした。ちなみにiPhoneは対応していないので専用チューナーを接続して視聴しなければいけません。そもそもスマホ専用の放送局という発想がとてもうまくいきそうにありません。
またリアルタイム視聴というのもいまのライフスタイルには合いません。どう考えても、これからはオンデマンドが基本でしょう。
さらにNTTドコモは動画配信サービス「dTV」も運営しており明らかに競合しています。今回のサービス終了に伴いdTVへにお得に移行できるような施策も検討されているようです。いまではHuluやネットフリックスなどの動画配信サービスがいくつもありますし、NOTTVに勝ち目はありません。
これぐらいのことは少し考えればドコモの経営者にもわかりそうですが、なぜ負け戦とわかっていてNOTTVに参入したのか。それは電波行政を統括する総務省への配慮ではないでしょうか。「地デジ化に伴い空いた地上アナログ放送の帯域がそのまま開いているのはマズい。なんとかならんのか」という暗黙の要請に応えての事業展開だったのでしょう。その代わりに携帯電話の電波割当に配慮してもらうというワケです。阿吽の呼吸というやつですね。
今回は「4年やったからもういいでしょう」ということでサービス停止。もう義理は果たしということでしょう。なるほど赤字だったでしょうが、こんなちんけな事業はドコモ本体にとっては大したことない。
いい面の皮なのは、抱き合わせで勝手にサービスに加入させられて毎月利用料金を払っていた情弱の利用者でしょう。まあ自業自得でもありますがひどい話です。
さらに視野を広げて考えてみましょう。ドコモはサービス停止後は専有していた帯域を返納するそうですが、最初からこの帯域を有効に利用できていれば社会全体が便利になったかもしれません。そう考えると国民全体の利益を損なっていたことになります。
それぞれの電波帯域にどのくらいの価値があるのか。商用利用する帯域は入札で利用事業者を決めれば今回のようなことはなかったでしょう。「電波オークション」を導入するべきなのでしょうが、利権が複雑に絡んでいる日本では無理なんでしょうね。(ためいき)