退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

「ドコモ口座事件」で思ったこと

NTTドコモが提供する「ドコモ口座」を不正に利用し、第三者が他人の銀行口座からお金を引き出す事件が相次いで起こり、問題となった。

セキュリティ上の技術的な解説は他に譲るとして、ドコモ幹部の記者会見を見て感じたことをメモしておく。


【ノーカット】「ドコモ口座の不正利用」で会見 NTTドコモ

ニュースの扱いが小さすぎないか?

まず思ったのは、この「ドコモ口座事件」がメディアでの扱いが小ささすぎることだ。

三者が銀行口座から不正に預金が引き出せるというのは一大事である。本来なら国民に広く注意を喚起する必要があるはずだ。少なくとも野党の代表選よりはずっと重要なニュースである。

にもかかわらず、ニュースでの扱いは思いのほか小さく、順番もかなり後のほうだった。民放ではドコモは大手スポンサーでもあるので忖度したのかもしれないが、NHKもかなり扱いが小さくて驚いた。見えない力が働いているのか。

ドコモと銀行の責任の按分は?

次はドコモと銀行のそれぞれの責任の大きさである。この事件は、ドコモと銀行の間にあったセキュリティの隙と突かれたとも考えれるが、どちらの責任がより大きいのだろうか。

個人的には銀行8割、ドコモ2割ぐらいではないかと思う。ドコモの記者会見では、「損害は全額補償する」と言っていたが、銀行との調整はどこまで済んでいるのだろうか。

被害者には速やかに補償されるべきだと思うがひと悶着ありそうである。さらに言えば、被害者にも個人情報やパスコードを漏洩させた責任があるという指摘もある。そう言われれば反論するのは難しいかもしれない。

そうなると、預金者、銀行、ドコモのそれぞれに責任があることになる。落とし所はどこになるのだろうか。

ドコモはサービスを止めない?

記者会見で驚いたのは、このような事態を生じてもサービスは止めないというドコモの姿勢である。預金者の被害よりも自社のビジネス優先というあり得ない姿勢に驚くばかりである。

本来なら、いったんサービスを停止して、本人確認を強化するようにシステムを改修するべきである。同時に既存の「ドコモ口座」のスクリーニングも行わなかればいけない。これが終わって初めてサービス再開というのが本筋だろう。

まあドコモの言い分は「銀行がチャージを止めればいいじゃね?」ということだろうか。被害が出続けてるのに頑なにサービスを止めずに銭ゲバのように利益を追求する姿勢に、ドコモの企業文化の本質を見た気がした。

まとめ

IT後進国の日本を象徴するような「ドコモ口座事件」であるが、これでキャッシュレス決済に悪影響が生じることだけは避けてほしいというのが、いちばんの願いである。

それにしても、今回の事件で「ドコモのブランドイメージの毀損」は大変なものである。被害額よりずっとダメージが大きいのではないか。やれやれ。