安倍首相が記者会見で辞任を表明した。首相のスピーチのあとで記者による質疑応答であった。そこでちょっと気になったことがあったので書いておきたい。
ある記者が「安倍政権のレガシーは何でしょう?」のようなことを訊いた。「レガシー」とかいちいちカタカナを使うこともないだろう。本来は「歴史的偉業」ぐらいの意味だろうが、まあ単純に「業績」ぐらいと思ったらよいだろうか。
安倍首相は具体的に業績を挙げることなく、「後世の人が決める」というようなことを謙虚に答えた。ここで「ちょっと待った」と思った。
安倍政権といえば、前代未聞の「公文書改ざん」事件をしでかした政権であることを覚えているだろうか。本人の直接の指示ではないだろうが、安倍政権下で問題化したことに対しては責任は免れないだろう。
そもそも銀英伝のような「後世の歴史家の判断に委ねる」という言い回しは、どこかうまいこと言ったような雰囲気があるが、これは歴史的資料が残っているのが前提である。
およろ公文書や基幹統計を改ざんするような政権の首相が「後世の人が決める」なんてことを口にしていいのだろうか。ネット・ジャーゴンで言えば「どの口が言うのか」といったところである。
同じことを思った人も少なくなかったようで、こうしたツッコミがネットに流れていた。これだけでも「日本はもうダメかもしれんね」と思ってしまうのであった。