退屈な日々 / Der graue Alltag

将来の展望が見えない現代。それでも映画や本を楽しみ、ダラダラと過ごす日常を生暖かく記録する。

【映画感想】『釣りバカ日誌スペシャル』(1994) / 森崎東監督による釣りバカ日誌シリーズ第7作

DVDで映画『釣りバカ日誌スペシャル』(1994年、監督:森崎東)を鑑賞する。西田敏行三國連太郎による釣りバカ日誌シリーズの第7作(特別編第1作)だが、別に『釣りバカ日誌7』という作品があってナンバリングがややこしい。森崎東監督の追悼としてひさしぶりに見てみた。

メインゲストは、浜崎(西田敏行)の上司・佐々木課長(谷啓)の娘・志野を演じる富田靖子。スーさん(三國連太郎)の親友・山内(西村晃)の息子・健吾(加勢大周)が、電車で志野を見初める。志野が鈴木建設の社員の娘だと知った山内がスーさんのもとを訪れて、志野と息子の縁結びを依頼する。しかし志野にはすでに気になる相手(大森嘉之)がいて……。

一方、浜ちゃんの出張中に、浜崎家を訪れたスーさんは酩酊して帰宅できず浜崎家で一泊してしまう。翌朝、みち子(石田えり)とふたりでいるところを近所の人たちに見られ、不倫のうわさを立てられてしまうが……。


釣りバカ日誌スペシャル

森崎東監督らしく往年の松竹喜劇の雰囲気が横溢していて、いつものシリーズとは異なる趣の作品となっている。

富田靖子の恋バナでは、加勢大周とのデート中に大森嘉之が乗り込んできてブルーハーツのテープが入ったウォークマンを置いて去っていくシーケンスがちょっといい。浜ちゃんの課長がどれだけのステータスなのかわからないが、加勢大周といっしょになればブルジョワの仲間入りだというのに、これを振って大森嘉之のも人情噺としてはありだろうか。

そして社長絡みの縁談が破断となり、責任を感じた佐々木課長が辞表を提出するのを、スーさんが「プライベートなことだから」と一蹴するあたりもいい。このシリーズのいいところは、スーさんがときおり経営者としての顔が覗かせるところである。

また、浜ちゃんがやたらとみち子さんのカラダを求めるあたりも本作の特徴であろうか。石田えりの色気がギンギンに出ていて、浜ちゃんならずとともその気になるのも納得できる。ちなみに次作から、みち子役は石田えりから浅田美代子に交代しているので、最後のご祝儀シーンということだったのかもしれない。